目次
ごぼうの切り口に見える黒い輪の正体
ごぼうの切り口に現れる黒い輪の要因は、2つあります。
ごぼうの切り口に見える黒い輪の正体は「ポリフェノール」
ごぼうをカットし、時間が経つと現れる黒い輪の正体は、ごぼうに含まれるポリフェノールの酸化が要因です。
ポリフェノールは、一般的には灰汁(あく)と呼ばれる成分のひとつです。空気に触れると酸化する性質があり、黒色やピンク色に変色します。切ったごぼうを水にさらすと水が茶色く変化するのも、ポリフェノールが原因です。
すが入ったごぼうにも黒い輪があらわれる
「す」とは、野菜内部に空洞ができ、スカスカになった状態です。「すが入る」と表現し、すが入ったごぼうも、切り口に黒い輪が現れることがあります。
収穫が遅れて生育しすぎたごぼうや収穫から時間が経ったごぼうは、内部の水分が抜けてしまうため、すが入ります。すが入ったごぼうも食べられますが、パサパサして食感はよくありません。
ごぼうの黒い輪の原因「ポリフェノール」とは
ごぼうに黒い輪を発生させる成分「ポリフェノール」とは、一体何でしょうか。ポリフェノールについて、詳しく解説します。
ポリフェノールとは何か
ポリフェノールは苦みや色素に関わっており、ほとんどの植物が持っている成分です。ポリフェノールに属する成分は、自然界に5,000種類以上あるともいわれます。
ごぼうには、ごぼうには、クロロゲン酸、アルクチイン、ルテオリン、ケルセチンなどのポリフェノールが含まれています。
中心部分よりも皮に近い部分の方が、ポリフェノールが豊富に含まれています。
ポリフェノールを含む食品の例
ポリフェノールを含む食品の例は、以下のとおりです。
食品 | リンゴ, ブドウ, ベリー類, タマネギ, セロリ, ナス, 大豆, クルミ など |
---|---|
飲料 | 赤ワイン, コーヒー, 緑茶, ココア など |
上記のような食品を積極的に摂取すると、次に解説する「ポリフェノールの健康効果」を得やすいでしょう。
ポリフェノールの健康効果
ポリフェノールは、私たちの体にさまざまな健康効果をもたらします。ポリフェノールが持つ抗酸化作用によって、体の各所によい影響を与えるためです。
ポリフェノールの摂取により期待できる健康効果の一例は、以下のとおりです。
・視力維持
・高血圧予防
・動脈硬化予防
・美肌効果
・アレルギーの緩和
・更年期症状の緩和
・脂肪の消費 など
黒い輪があるごぼうは食べられるのか
「黒い輪があるごぼうは、食べても問題ないのか」と疑問に感じる人もいるでしょう。黒い輪が現れたごぼうの可食性と、注意点を解説します。
黒い輪があるごぼうは食べて問題なし
ごぼうの黒い輪は、ポリフェノールの酸化や、すが入ったことにより発生します。どちらの要因の場合も、問題なく食べられます。
黒い輪があるごぼうは、味が落ちている可能性もある
黒い輪があるごぼうを食べても、健康上の問題はありません。ただし、黒い輪の原因を考慮すると、食べごろから時間が経過している可能性は高いでしょう。
黒い輪のあるごぼうは、成分の酸化や脱水が進んでおり、ごぼうらしい食感や味わいが落ちているかもしれません。そのため、「細切りにし、食感の劣化をカバーする」「濃い味付けにする」などの工夫を凝らした調理方法がおすすめです。
ほかにもある、ごぼうの色が変わる要因
ごぼうには、黒い輪以外の変色が現れる場合もあります。よくある5つの変色要因を解説します。
ごぼうの表面に黒い斑点がある場合
表面に黒い斑点が見られるごぼうは、病気にかかっている可能性があります。食べるのは、避けた方がよいでしょう。
ごぼうは連作が苦手です。連作とは、同じ土地に同一種の作物を毎年続けて植えることです。連作が不適な野菜を連作すると、連作障害を起こし、病気にかかりやすくなります。
<ごぼうの病気の例>
- やけ症(根腐病・黒あざ病)
- ゴボウ根黒斑病(仮称)
また、カビによって黒い斑点ができているケースもあります。
ごぼうの切り口が赤色・茶色になっている場合
ごぼうの切り口が、赤色や茶色になっているのを見たことがある方もいるでしょう。切って間もなく変色する場合と、切って時間が経ってから変色する場合があります。
どちらの場合も、黒い輪と同様に、ポリフェノールの酸化が要因です。そのため、食べても問題ありません。
ごぼうが緑色になった場合
ごぼうに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸は、温度やpHの影響を受け、緑色や青色に変わる場合があります。
冷凍したごぼうが緑色に変色するのは、クロロゲン酸が温度変化によって変色したためです。また、煮物調理の際にごぼうから溶けだしたクロロゲン酸が、こんにゃくに含まれるアルカリ性の凝固剤(石灰)と反応し、白いこんにゃくを緑色にした例も報告されています。
いずれも体に害はなく、食べても問題ありません。
ごぼうの表面が全体的に黒い場合
ごぼうは、鮮度を保つために土がついたまま販売されるものもあります。土がついたごぼうは、全体的に黒く見えることがあります。
土を洗い落とし、ごぼう本来の色が見えてくれば問題ありません。土がごぼうの乾燥を防ぎ、みずみずしさや香りを保持してくれるため、土なしのごぼうより新鮮な状態で食べられるでしょう。
ごぼう全体が黒く、やわらかくなっている場合
表面の土や泥を洗い落としても黒さが残り、さらにやわらかくなっている場合は、ごぼう全体をよく見てください。
下記のような状態の場合、ごぼうが腐敗している可能性があります。
- 部分的に溶けている
- 異臭がする
傷んだごぼうは、食用には不向きです。そのまま処分しましょう。
新鮮でおいしいごぼうの選び方
酸化がなく、すも入っていない、新鮮でおいしいごぼうは、どのように見つければよいのでしょうか。ごぼうの選び方を解説します。
ごぼうは土付きがおすすめ
店頭で販売されるごぼうは、土がきれいに洗われたものと、土付きのものがあります。
洗いごぼうは、洗う手間が省けるというメリットがありますが、風味は落ちやすいとされます。おいしいごぼうを手に入れたいときは、土付きがおすすめです。土付きごぼうの方が、鮮度も長く保てます。
細すぎず、太すぎず、ちょうどよい太さ
おいしいごぼう選びには、ごぼうの太さにも注目することも大切です。
細すぎるごぼうは、調理しにくく不便でしょう。反対に太すぎると、すが入っている可能性があります。太さが10円玉程度のものがおすすめです。
まっすぐに、しっかりと伸びている
ごぼう全体の形状も確認しましょう。以下の条件を満たしたごぼうは、おいしいごぼうです。
- 全体がまっすぐに、スラリと伸びている
- 表面にしわがない
- 適度に弾力がある
しおれているごぼうや、やわらかすぎて曲がるごぼうは、新鮮ではありません。
ごぼうを長持ちさせる保存方法
おいしいごぼうを手に入れたら、保存方法も工夫してみましょう。おいしさを保ったまま、ごぼうを長持ちさせられます。ごぼうが長持ちする保存方法を、4つ紹介します。
ごぼうは常温で、土が付いたまま
ごぼうは乾燥に弱いため、できるだけ乾燥を避けて保存しましょう。土付きのごぼうは、土が付いたまま立てた状態で保存します。
保存する場所の温度は、15度以下の常温がおすすめです
湿らせた新聞紙に包み、風が直接当たらない場所に
ごぼうの乾燥防止のため、湿らせた新聞紙に包むようにしましょう。湿らせた新聞紙でごぼう全体を包むことで、風や直射日光も防げます。新聞紙に包んだら、風通しのよい場所に立てて保存します。
ごぼうを冷蔵庫に入れる場合は、乾燥を防ぐ
土が付いていない洗いごぼうや切ったごぼうは、冷蔵庫(野菜室)に保管します。ごぼうをキッチンペーパーや新聞紙などで包み、さらにポリ袋に入れて乾燥を防いでください。
ごぼうは、しっかりと水気を拭き取れば、冷凍もできます。冷凍用保存袋に平たく並べ、空気を抜いて冷凍庫に入れましょう。
調理・乾燥してから保管もおすすめ
鮮度が落ちやすいごぼうは、加熱してから冷凍する方法もおすすめです。適当な大きさに切り、炒って水分を飛ばしてから、冷凍保存しましょう。
ごぼう茶にすると、ごぼうの風味を長く楽しめます。
<ごぼう茶の作り方>
- ごぼうを皮つきのままささがきにする
- 半日程度干す
- フライパンで、空炒りする(弱火・10分ほど)
- 色が変わったら完成
- 余った分は、密閉容器に入れて保存する
ごぼうは豊富な栄養を含む食品
ごぼうは、以下のような豊富な栄養を持つ食品です。
<ごぼうに含まれる栄養>
- カリウム: 体内の水分バランスを調整し、筋肉と神経の機能をサポートします。
- リン: 骨や歯の健康に必要なミネラルで、エネルギーの生成にも関与します。
- マグネシウム: 筋肉の機能や神経の伝達に必要で、エネルギー代謝にも関わります。
- カルシウム: 骨や歯の強化、血液の凝固、神経伝達に重要です。
- 食物繊維: 消化を助け、腸内環境を整える役割があります。
どの栄養も、人の健康に欠かせない成分です。ただ、ごぼうは鮮度が落ちやすく、長期保存に向かない点が難点ともいえます。
そこで、おすすめしたい方法が「ごぼう茶」です。お茶にすると、ごぼうの豊富な栄養の手軽に摂取しつつ、長期保存も可能になります。
まとめ
ごぼうの黒い輪は、ごぼうに含まれる成分「ポリフェノール」の酸化により発生します。また、すが入ったごぼうにも、黒い輪が現れる場合があります。いずれも食べても問題はありません。
ごぼうの栄養を手軽にとるには、ごぼう茶がおすすめです。
あじかんでは長年ごぼうに関する研究を続けています。このサイトでは、「あじかんごぼうプロジェクト」の研究結果をみなさまに情報提供しています。詳しい情報はこちらをご覧ください。