ごぼうの
ふるさと紀行
第一回 薩摩の火山灰が降る、黒ボクのごぼう畑
鹿児島県南九州市、知覧茶で知られる美しい茶畑とともに、
いきいきとたくましく育つごぼう畑が広がっています。
さまざまな野菜栽培に取り組む株式会社山英野菜さんを訪問し、
会長の山口教英さんと専務の山口新太郎さんに、
ごぼう栽培へのこだわりや思いについてお話を伺いました。
あじかん
ごぼうの栽培を始められたのはいつ頃ですか?
山英野菜
18年前、夏場に安定して収穫できる野菜を作りたいと考えたんですね。でも、なかなか夏にできる作物って少なくて、その中でごぼうにちょっとチャレンジしてみようと思い立ち、そこから取り組みを始めました。
あじかん
この地域だと、ごぼうを育てやすい環境なのですか?
山英野菜
知覧の土壌の特徴は、黒ボクと呼ばれる黒い火山灰土壌ですね。桜島の火山灰が風に乗って降り積もったものです。柔らかいので深く耕せて、とても肥沃な土壌ですね。

あじかん
黒ボクの土には、成分的にどんな特徴がありますか?
山英野菜
成分というよりは、pHが低いです。それで土壌のpHを調整して、ごぼうに向くような畑に仕上げていきます。
あじかん
栽培において、こだわってることはありますか?
山英野菜
土壌づくりで、団粒構造(土壌の粒子が互いにくっつき合って、だんご状の塊を形成した状態)を作っています。あとは、いろいろ有機物や酸素を入れたり、排水をよくすることですね。
あじかん
酸素を入れるっていうのはどういう意味があるのですか?
山英野菜
雨が降ったら土の表面に膜ができてしまいます。そしたら土の中が酸欠状態になるので、酸素を入れるんです。そうすることで肥料も効きが良くなります。

あじかん
とくに気を遣うのは、どんなことですか?
山英野菜
寒さ対策ですね。種をまいた1月から3月ぐらいまでの間、畑の全面に不織布を被すんですよ。寒さから守り、さらに生育も早まります。
あじかん
自然にまっすぐ育つものなんですか?
山英野菜
作付けする前にトレンチャーという機械で空掘りをします。1mぐらいずっとぼかしていくんですね。そうして土が柔らかくなることで、ごぼうがまっすぐ育ちやすくなります。
あじかん
コツとか経験が必要になることは?
山英野菜
やっぱり時期を見極めて追肥をして、いかに作り込むか。まずは葉っぱを作ってあげないと、根が伸びていかないのです。気温が上がるまでの間に、しっかり葉ができるように肥料を与えなくてはいけません。

あじかん
やはり天候に左右されることも多いんですか?
山英野菜
雨風が強い時には、葉っぱが叩かれると弱ってしまいます。葉っぱが大きいから、雨のダメージを受けやすく、茎が折れるんですね。近年はゲリラ豪雨も多くなり、急に気温が下がって雹が降ることもあり、何とも悩ましい問題です。
あじかん
栽培で苦労したエピソードはありますか?
山英野菜
もちろんありますよ。種を付けたシーダーテープを畑に張っていくんですけど、それをカラスが悪さして、その紐を持ち上げるんです。食べるのではなくて、遊びでやるんですね。そうすると種が土の上に出てきてしまい、発芽しないのです。
あじかん
土の中にあるテープをカラスが引っ張り出してしまうんですね。それどう対策されたんですか?
山英野菜
カラスよけのキラキラした反射板を置きましたね。

あじかん
畑を見せていただきましたが、横から見ると土を台形になっているですね。
山英野菜
以前はかまぼこ型だったのですが、台形にした方が発芽がよかったですね。
あじかん
他の作物との違いはありますか?
山英野菜
大根は暖かい時期は60日ぐらいでできるんですけど、ごぼうはだいたい180~200日ぐらいですね。それぐらい時間がかかるんですね。でもやっぱり、暑さに強いってところがありがたいですね。
あじかん
では、ごぼう栽培のやりがいとか、嬉しかったことをお聞かせください。
山英野菜
良いものができた時が、やっぱり喜びですよね。2Lの太いサイズで、形が美しく重量もしっかりあるというのが大事ですね。
あじかん
収穫する前の状態でわかるものでしょうか?抜いてみないと分からないものなのですか?
山英野菜
抜いてみないと分からないですね(笑)

あじかん
当社では、こちらで採れたごぼうをきんぴらごぼう用に使わせてもらっているんですよ。
山英野菜
私たちの畑からそだったごぼうが、製品化して消費者の口に届くまでのストーリーが見えてくると、生産者としての喜びはさらに増しますね。
あじかん
今後ごぼうに関して願うことはありますか?
山英野菜
ごぼうは体にいいということはもちろんで、食物繊維も多いので、皆さんにもっと食べてほしいとかって気持ちはありますね。とくに若い人にも。昔からあるごぼうの伝統料理を大事にしながら、ごぼうをどんどん使ってほしいですね。
あじかん
全国的に見ても新ごぼうが一番早く出回るのは、鹿児島産のごぼうですよね。日本のごぼう産業の一部をしっかり担っている地域ですので、これからも太くておいしいごぼうを作っていただき、日本の食卓へ健康を届けていただければと思います。私たちあじかんも心より応援しています。

山英野菜さんの実直な想いをそのまま体現するかのように
まっすぐにたくましく伸びるごぼうの収穫が楽しみです。
