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ごぼうは消化によくない?
ごぼうには、可食部100gあたり5.7gの食物繊維が含まれています。
食物繊維は、ヒトの体内にある消化酵素では分解できません。そして、この「体内に吸収されない性質」によって、健康維持にプラスとなる影響をもたらします。
そのため、お腹の調子がすぐれないときは、摂取量を控えめにした方がよいとされています。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の違い
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があり、両方をバランスよく摂取することが大切です。
ごぼうには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれており、それぞれ体内で異なる働きが期待できます。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は水に溶けやすい性質があり、溶けると粘性を持ったゼリー状になります。この性質により、下記のような効果が期待できます。
- 糖の吸収をゆるやかにして血糖値の上昇を抑える
- コレステロールやナトリウムを体外に排出する
- 便をやわらかくして排出を促す
また、水溶性食物繊維は、体にとってよい働きをする善玉菌のエサになるため、腸内環境を整える効果も期待できるでしょう。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、水に溶けにくい性質を持つ食物繊維です。不溶性食物繊維が水を含むと、便のかさが増えて大腸が刺激され、排便が促されます。
また、体にとって望ましくない成分を吸着し、便と一緒に体外に排出する効果もあるといわれています。
水溶性食物繊維と同じく善玉菌のエサになるため、腸内環境を整える助けにもなるでしょう。
ごぼうに含まれる食物繊維には、体にうれしい効果が満載!
ごぼうに含まれる食物繊維には、体にうれしい効果がいくつもあります。
- 便通を整える
- 生活習慣病の予防に役立つ
- 免疫力の向上につながる
便通を整える
食物繊維には、善玉菌のエサになり腸内環境を整えたり、便のかさを増して腸を刺激したりする働きがあります。そのため、便通を整える効果を期待できるでしょう。
便秘に悩んでいる人は、積極的に摂取したい栄養素です。
生活習慣病の予防に役立つ
食物繊維は、糖の吸収をゆるやかにしたり、コレステロールやナトリウムを吸着して体外への排出を促したりする働きがあります。そのため、糖尿病や脂質異常症、高血圧といった生活習慣病の予防に役立つでしょう。
また、食物繊維は低カロリーで満腹感を得やすいため、肥満の防止にもつながります。健康を意識した食生活を送りたいなら、ごぼうに代表される食物繊維が豊富な食材を積極的に取り入れるとよいでしょう。
免疫力の向上につながる
食物繊維は善玉菌のエサとなるため、腸内環境の改善効果が期待できます。
腸管には6〜7割もの末梢免疫細胞が集積した、体内最大の末梢リンパ組織である腸管免疫系が発達しています。そのため、腸内環境の改善が、免疫力の向上にもつながるとも考えられています。
十分な量の食物繊維を摂取することは、風邪やインフルエンザなどの感染症を予防するうえでも重要だといえるでしょう。
食物繊維の1日の摂取量目安
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、性別・年齢別に、下記の目標量が定められています。
男性 | 女性 | |
18~64歳 | 21g以上/日 | 18g以上/日 |
65歳以上 | 18g以上/日 | 17g以上/日 |
また、生活習慣病予防の観点では、成人は1日24g以上、できれば1,000kcalあたり14g以上の摂取が望ましいとされています。生活習慣病が気になる人は、体の調子をみながら食物繊維の摂取量を増やしてみましょう。
食物繊維だけじゃない!ごぼうに含まれる主な栄養素
ごぼうには、食物繊維以外にも次のような栄養素が含まれます。
- カルシウム
- マグネシウム
- ポリフェノール
- 鉄分
- カリウム
それぞれの栄養素の働きについて、以下で詳しく解説します。
カルシウム
骨や歯に多く含まれるカルシウムは、ミネラルの一種です。
実は、日本人はカルシウムが不足しがちとされています。カルシウム不足は骨粗しょう症の原因になるため、積極的に摂取したい栄養素の1つです。
マグネシウム
マグネシウムもミネラルの一種で、心臓や骨などに多く存在します。筋肉や神経など、体を機能させるためになくてはならない栄養素です。
日本人はマグネシウムも不足しがちなので、ごぼうをはじめ、マグネシウムを豊富に含む食材を積極的に取り入れましょう。
ポリフェノール
ごぼうには、クロロゲン酸というポリフェノールが含まれています。
優れた抗酸化作用を持つポリフェノールは、活性酸素をはじめとする体に望ましくない物質を無害化し、生活習慣病予防に役立つといわれています。
鉄分
鉄分は、血液中に含まれるヘモグロビンの材料です。
ヘモグロビンは、血流に乗って全身に酸素を運ぶ「赤血球」の主成分です。ヘモグロビンの減少は貧血の原因になるため、鉄分は貧血予防に欠かせない栄養素です。
カリウム
カリウムには、余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあります。
ナトリウムのとりすぎは高血圧の原因になるとされているため、血圧が高めの人はカリウムを積極的に摂取しましょう。
体内の過剰なナトリウムは「むくみ」の原因にもなるため、カリウムはむくみ対策としても有用です。
ごぼうをおいしく食べるコツ
ここからは、ごぼうの選び方や調理のポイントなど、ごぼうをおいしく食べるコツを解説します。
ごぼうの選び方
スーパーでごぼうを選ぶ際は、根本から先端まで、太さがなるべく均一なものを選ぶとよいでしょう。極端に曲がっているものや、ひび割れがあるもの、ひげ根が多すぎるものは避けたほうが無難です。
また、ごぼうは乾燥に弱く、乾燥を防いでくれる「泥」がついている方が風味豊かでおいしいとされています。洗いごぼうの場合は、表面がなめらかで、しわがないものを選びましょう。
調理のポイント
ごぼうは、皮に近い部分ほどうま味が多く、香りも強いという特徴があります。そのため、皮はできるだけ薄くむくとよいでしょう。
ピーラーを使うと厚く剥けやすいので、包丁の背や丸めたアルミホイルなどで、こすり落とすように皮をむく方法がおすすめです。
ごぼうを切ったあとは、水にさらしてアク抜きをする方も少なくないかもしれません。水にさらす場合は、30秒ほどを目安にしてください。さらす時間が長いと、ごぼうに含まれるポリフェノールである「クロロゲン酸」が溶け出てしまいます。
ごぼうの正しい保存方法
泥付きのごぼうなら、泥を落とさず新聞紙でくるんだ状態で、冷暗所に保存しましょう。
常温保存の場合、保存期間は1ヵ月が目安です。ただし、室温が15度を超えるようなら、常温保存は避けた方がよいでしょう。
洗ってあるごぼうや、春に収穫される新ごぼうは、ラップに包んで冷蔵庫の野菜室に保存します。冷蔵保存の場合、保存期間の目安は1週間です。
また、ごぼうを使いやすい大きさに切り、冷凍保存するという方法もあります。冷凍保存の場合、保存期間は3~4週間を目安にするとよいでしょう。
まとめ
ごぼうは、食物繊維を豊富に含む食材の1つです。食物繊維は体内で消化されないため、お腹の調子が悪いときは控えめにした方が無難でしょう。もちろん、体調に問題がなければ、逆にお腹の調子を整える効果を期待できます。
日本人は食物繊維が不足しがちといわれているので、ごぼうのように食物繊維が豊富な食材を積極的に摂取することが大切です。お腹の調子をみながら、普段の食事に取り入れてみましょう。
ごぼうの栄養を手軽に摂取したいなら、ごぼう茶もおすすめです。
あじかんでは長年ごぼうに関する研究を続けています。このサイトでは、「あじかんごぼうプロジェクト」の研究結果をみなさまに情報提供しています。詳しい情報はこちらをご覧ください。