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ごぼうと健康

ごぼうに含まれる五大栄養素とは|分類や摂取するメリット、調理のポイントも解説

ごぼうに含まれる五大栄養素とは|分類や摂取するメリット、調理のポイントも解説

ごぼうは、食物繊維を多く含む野菜としてよく知られています。また、食物繊維以外にも多くの栄養が含まれており、積極的に摂取したい野菜のひとつでしょう。
本記事では、ごぼうに含まれる食物繊維や、その他の栄養素について解説します。ごぼうの栄養を無駄にしないための調理のポイントについても解説するため、ぜひ参考にしてください。

2024.07.26

ごぼうについての基礎知識

まずは、ごぼうとはどのような野菜なのかをごぼうの歴史も含めて解説します。

ごぼうとは

ごぼうはキク科ゴボウ属の多年草です。原産地はユーラシア大陸北部といわれており、漢字では「牛蒡」、学名は「Arctium lappa L.」と記載されます。

ごぼうの品種は、長根種と短根種に分けられます。

<長根種の主な品種>

  • 滝野川ごぼう

<短根種の主な品種>

  • 堀川ごぼう
  • 大浦ごぼう

ごぼうの保存方法

ごぼうは乾燥に弱い野菜です。乾燥から守るようにすることで、風味を落とさずに保存できます。

土がついたごぼうは、日の当たらない風通しのよい場所で保存しましょう。適切に保存ができていれば、2週間ほど保存可能です。

夏場であれば、切ったごぼうを水にさらしてラップに包み、冷蔵庫で保管し2〜3日で使い切るようにします。ごぼうが大量にある場合は、ささがきにしてゆでて、水気を切って冷凍するとよいでしょう。

ごぼうの歴史

ごぼうの歴史はとても古く、縄文時代にユーラシア大陸から渡来したとされています。中国ではごぼうを薬草として扱っており、日本でも渡来した当初は薬草として扱われていました。

ごぼうが食用とされ始めたのは、1200年ほど前の平安時代中期です。平安時代の書物には、キタキスやウマフブキという名で記載されています。

また、ドイツ人の医師であるシーボルトが、ごぼうをオランダに持ち帰ったという話もあります。しかし、海外ではあまり好まれず、今もそれほど普及していません。

ごぼうは五大栄養素の炭水化物に分類される食物繊維が大量に含まれている

五体栄養素とは、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルのことです。ごぼうに多く含まれている食物繊維は、五大栄養素のなかの炭水化物に分類されます。

食物繊維には不溶性と水溶性の2種類があり、ごぼうにはどちらも含まれています。

<ごぼうに含まれる食物繊維>

  • 不溶性:セルロース、リグニン など
  • 水溶性:イヌリン など

食物繊維が豊富とされているレタス、ほうれん草、さつまいもなどと比較しても、ごぼうはより多くの食物繊維を含む点が特徴です。

五大栄養素とは

ここからは、炭水化物を含めた五大栄養素の特徴や働きを解説します。

たんぱく質

たんぱく質は、筋肉や内臓、皮膚など、人体を構成する重要な栄養源です。また、ホルモンや酵素、神経伝達物質としても機能します。肉や魚、乳製品に多く含まれています。

たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成されており、そのうち9種類は人体では合成できません。そのため、食事から摂取する必要があります。

脂質

脂質は、たんぱく質や炭水化物よりも多くのエネルギーをつくる、効率のよいエネルギー源です。また、神経組織やホルモン生成にも欠かせない栄養素です。肉や魚、食用の油脂に多く含まれています。

必要以上に摂りすぎてしまうと、中性脂肪として蓄えられて肥満の原因になるため、摂取量には注意しましょう。

炭水化物

炭水化物は、糖質と食物繊維に分類されます。

糖質は、穀物や砂糖に多く含まれ、消化吸収が早い点が特徴です。体内では、脳や筋肉のエネルギーになります。

一方の食物繊維は、消化酵素では分解されない難消化性の成分です。野菜やキノコなどに多く含まれています。

炭水化物(糖質)も、脂質と同様に、過剰摂取が生活習慣病につながる可能性があります。摂取しすぎには注意が必要です。

ビタミン

ビタミンは、たんぱく質や脂質の分解・合成を助け、体の調子を整えます。玄米、肉や魚、野菜や果物、ナッツなど多くの食材に含まれている栄養素で、水溶性と脂溶性に分類されます。

体内ではほとんど合成されないため、食事からの摂取が不可欠です。

ミネラル

無機質とも呼ばれるミネラルは、カルシウムや鉄、マグネシウムなどの栄養成分のことです。野菜や果物、乳製品に含まれています。

全部で16種類あるミネラルは、人体のさまざまな機能に関わっています。

  • 体の水分量の調整
  • 神経の興奮や情報伝達
  • 筋肉の収縮
  • 栄養素の吸収

ごぼうの食物繊維のメリット

ごぼう含まれる食物繊維には、体にとってメリットとなる働きがあります。ここでは、主な食物繊維のメリットを4つ解説します。

整腸作用

ごぼうには、不溶性の食物繊維であるセルロースとリグニンが含まれており、腸内の善玉菌を増やす働きがあります。

腸内には、善玉菌と悪玉菌が存在しており、両者のバランスを整えることが重要です。食物繊維によって善玉菌が増え、腸内環境がよりよい状態になることで、免疫力アップや美肌効果が期待できるでしょう。

便秘改善

不溶性の食物繊維であるセルロースやリグニンには、腸内で水分を吸収して膨らむ特性があります。

食物繊維が腸内で膨らむと、腸が刺激されて、ぜん動運動が活発になります。その結果、排便が促され、便秘解消につながるでしょう。

動脈硬化の予防

ごぼうに含まれる食物繊維には、胆汁酸を吸着して排出する働きがあります。この働きにより、コレステロール値が下がり、動脈硬化を予防できる可能性があると考えられています。

また、水溶性の食物繊維には、ナトリウムを排出する働きもあるため、高血圧の予防にもよいといえるでしょう。

糖尿病予防

糖尿病とは、血糖値の上昇を抑えるインスリンが正常に働かなくなり、血糖値が上昇する病気です。

ごぼうに含まれるイヌリンは、摂取した食材と混ざってゲル状となり、小腸まで時間をかけて移動します。それにより、栄養素が吸収される時間が伸びるため、血糖値の上昇が緩やかになり、糖尿病の予防につながります。

食物繊維以外でごぼうに含まれている主な栄養素

ごぼうには、食物繊維だけでなく多くの栄養が含まれています。

クロロゲン酸

クロロゲン酸は、ポリフェノールの一種で、ごぼうのアクに含まれています。クロロゲン酸には抗酸化作用があり、免疫機能の低下や細胞の損傷をもたらす活性酸素の働きを抑制します。

葉酸

葉酸は、ビタミンB群の一種で、赤血球の形成や動脈硬化の進行を防ぎます。細胞の生成にも欠かせない栄養素で、胎児や幼児の成長を促進する効果もあるといわれています。

ビタミンC

ビタミンCは、皮膚や血管の老化防止、免疫力向上に効果があります。シミの抑制やストレスの緩和に役立つでしょう。

カリウム

カリウムは、体内のナトリウムの濃度を調整します。そのため、体内のナトリウムの濃度が高いことで起きるむくみや高血圧を、予防したり改善したりする効果が期待できます。

カルシウム

カルシウムの役割は、骨や歯の形成です。カルシウムを積極的に摂取することで、将来的な骨粗しょう症の予防につなげられるでしょう。

また、カルシウムには、血液凝固による出血の防止や、筋肉の興奮を抑える効果もあるといわれています。

鉄は、赤血球中にあるヘモグロビンの材料です。ヘモグロビンには、酸素を全身に運ぶ役割があり、不足すると貧血状態になります。疲れやすくなったり、息切れを起こしたりすることもあります。

マグネシウム

マグネシウムには、血液の循環を正常に保ち、血中のカルシウム量を調整する働きがあります。また、筋肉の収縮や精神状態の安定化などにも関わっています。

ごぼうの栄養素を無駄にしない調理のポイント

ここでは、ごぼうに含まれる豊富な栄養素を、無駄にせずしっかり摂取するポイントを解説します。

皮もできるだけ残す

ごぼうの皮の部分は、ポリフェノールやうまみ成分が豊富に含まれています。

ごぼうの皮をきれいにむきすぎると、皮に含まれる栄養素まで取り除いてしまいます。包丁の背で軽くこそげ落とすか、タワシで軽くこする程度にしておくとよいでしょう。

水にさらしすぎない

ごぼうをおいしく食べるためには、アク抜きが必要です。しかし、水にさらすとポリフェノールやミネラルが溶け出してしまうため、短時間にしておきましょう。

なお、油を使う料理であれば、アク抜きは必要ありません。

まとめ

ごぼうは、1200年前の平安時代より、日本人の食生活と結びつきのある野菜です。整腸作用や便秘改善に必要な食物繊維だけでなく、ビタミンやミネラルも豊富に含んでいます。

ごぼうの栄養素を効果的に摂取するためには、調理法にも気をつけるとよいでしょう。

あじかんでは長年ごぼうに関する研究を続けています。このサイトでは、「あじかん ごぼうプロジェクト」の研究結果をみなさまに情報提供しています。詳しい情報はこちらをご覧ください。