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ごぼうを食べ過ぎると体に悪い?
ごぼうは、食物繊維をはじめとする栄養素が豊富で、体に嬉しい効果が期待できます。しかし、食べ過ぎによって、体に悪影響を及ぼす可能性もゼロではありません。ごぼうを食べすぎた場合に考えられる3つの症状を解説します。
お腹が張りやすくなる
ごぼうに含まれている不溶性食物繊維には、胃や腸で水分を吸収する働きがあります。食物繊維が水分を多く吸収すると、便の量が増えてかさが増すため、お腹が張りやすくなる可能性があります。特に、もともと便秘気味の方は腸の機能が低下している傾向にあるため、増えた便をうまく排出できないことでかえって便秘の加速につながる可能性もあるのです。
おならが出やすくなる
食物繊維は腸内に善玉菌を増やす働きがあることから、腸内環境を整えることで知られています。しかし、食物繊維を摂取し過ぎると、体内で分解する際にガスが発生しやすくなり、おならが多くなる原因になります。
おならが溜まりやすい現象は、体質の影響もあることや、お腹の不快感の度合いにも個人差があり、一概におならの原因が食物繊維であるとはいえません。しかし、食物繊維の量を急激に増やすとおならも増えやすくなる傾向にあるため、一度に大量にごぼうを摂取することは控えましょう。
栄養のバランスが偏ることもある
ごぼうに多く含まれる食物繊維を大量に摂取すると、カルシウムや鉄、亜鉛などのミネラル類の吸収を妨げる可能性があります。どの食材にもいえることですが、そもそも1つの栄養の摂りすぎは栄養バランスの偏りにつながるため、注意が必要です。
ごぼうに含まれていないビタミンDやB12を含む食材を合わせるなど、バランスのよい食事を心がけましょう。
ごぼうは栄養素が豊富!
ごぼうの食べ過ぎは体によくない影響を及ぼす可能性はあるものの、食べ過ぎを防げば、多くのメリットを得られることに違いはありません。以下に、ごぼうを食べるメリットについて解説します。
整腸作用が期待できる
ごぼうに含まれる食物繊維は、腸内環境を整える効果が期待できます。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、ごぼうにはそのどちらも多く含まれています。食物繊維は水分を吸収しながら腸を整えるため、ごぼうを食べるときは一緒に水を十分に取るようにしましょう。
生活習慣病の予防につながる
ごぼうは繊維質の野菜であるため、よく噛んで食べましょう。よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぎ、肥満の予防に役立ちます。また、具体的な臨床試験はないものの、ごぼうに含まれる水溶性食物繊維(イヌリン)が血糖値の急上昇を抑えることで、糖尿病予防に効果があるといわれることもあります。
ごぼうに含まれる栄養素
ごぼうに含まれる主な栄養素は以下の8つです。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維(リグニン)は、文字どおり水に溶けにくい食物繊維のことです。便の量を増やしたり、便の量が増えることによって大腸を刺激したりする働きがあります。ぜん動運動を活発化するため、スムーズな排便を促し、便秘解消に役立つことがメリットです。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維(イヌリン)は、水に溶けやすい食物繊維のことです。便に水分を含ませる役割があるため、便を柔らかくしてスムーズな排便を促進します。また水溶性食物繊維のイヌリンには、血糖値を下げたり、腎臓機能を高めたりする効果もあるとされています。腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えてくれる点もメリットです。
炭水化物
ごぼうには、三大栄養素の1つである炭水化物も多く含まれます。ごぼうの可食部100gあたりの炭水化物量は15.4gあり、そのうちの5.7gは食物繊維です。単純に計算すると、ごぼう100gあたりに含まれる糖質は9.7gとなります。以上のことから、ごぼうは野菜のなかでは比較的糖質が多く、バランスよく栄養素が取れる野菜といえるでしょう。
※出典:食品成分データベース 食品番号: 06084 食品群名/食品名: 野菜類/(ごぼう類)/ごぼう/根/生|文部科学省
カルシウム
カルシウムは、人間にとって重要なミネラルの1種です。ほとんどが骨や歯に含まれていますが、その他にもホルモンの分泌を調整する働きもあるとされています。日本人はカルシウムが不足しがちであるといわれており、また加齢によってもカルシウムの吸収が悪くなる傾向にあるため、日頃から意識的に摂取することが大切です。
マグネシウム
マグネシウムもミネラルの1種であり、主に心臓や腎臓、骨などに含まれ、体の機能を支えています。また、筋肉の収縮や神経情報の伝達などにも関わっており、生命を維持するうえで重要な役割を担っています。マグネシウムはごぼうの他にも、加工されていないほとんどの食品に含まれていることが特徴です。
ポリフェノール
ポリフェノールはごぼうのあくに含まれ、血管中のコレステロールを除去したり、血中の脂肪を低減したりする効果が期待できます。ポリフェノールは紫外線、細菌、虫、傷などから身を守る物質として、植物が光合成で得たエネルギーを使って合成されるものです。肉や魚から摂取することはできないため、野菜やお茶などから摂取する必要があります。
タンニン
前述したポリフェノールには約8,000種類が存在するといわれており、タンニンもポリフェノールの1種です。タンニンには抗酸化作用などがあり、老化防止にも役立つとされています。また、肌を引き締める効果も期待できることから、化粧品の材料として使われることもあります。
リン
リンもミネラルの1種で、カルシウムやマグネシウムと結合することで、骨や歯の構成に役立っている成分です。また、ビタミンB1やB2と結合して糖質の代謝を促進したり、体内のエネルギー発生や貯蓄に貢献したりする働きもあります。血中のリンとカルシウムはペアとなって機能するため、リンはカルシウムの量に合わせて一定のバランスで存在する必要があります。
ごぼうの食べ過ぎの目安
次に、ごぼうを食べ過ぎであると判断する目安について解説します。
野菜摂取量を基準に考える
厚生労働省の「健康日本21」によると、成人の野菜摂取量の目標値は1日350g以上とされています。ごぼう1本は約160gであるため、他の野菜とのバランスも考えると1本程度が適量といえます。したがって、ごぼうの食べ過ぎの目安は1日あたり1本を超える量となります。
食物繊維を基準に考える
ごぼうに含まれる食物繊維を基準に、摂取量を考える方法もあります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日に摂取する食物繊維の目標値は、成人男性で21g以上、成人女性で18g以上です。
茹でごぼうは、可食部100gあたり6.1g程度の食物繊維が含まれているため、ごぼうだけを食べるなら、1日2本程度(約300g)まで食べてもよいことになります。しかし、実際には他の野菜や果物も摂取するため、1日1本程度(約160g)を摂取の目安とするのがよいと考えられます。
※参考:日本人の食事摂取基準(2020 年版)|厚生労働省
※出典:食品成分データベース 食品番号: 06085 食品群名/食品名: 野菜類/(ごぼう類)/ごぼう/根/ゆで|文部科学省

ごぼうを調理するポイント
ごぼうの栄養素をしっかり摂るために、気をつけたい調理のポイントを3つ解説します。
皮を剥かずに調理する
ごぼうの香りやおいしさは、皮の部分に多く含まれています。皮を剥かずに調理することで、よりごぼうのおいしさを堪能することが可能です。ごぼうの表面を、包丁の裏やたわし、アルミホイルなどを使ってこすり、きれいにしたうえで調理しましょう。
水にさらすのは短時間に
ごぼうは、あく抜きをするために、カットしたあとは水にさらすのが一般的です。しかし、長時間水につけてしまうと、風味を損ねたり、水に溶けやすい栄養素も一緒に抜けたりしてしまいます。ごぼうのあくの正体はポリフェノールであるため、むしろ残っていたほうが、体によい成分を残しながらおいしく食べることができます。
肉・魚と合わせる
ごぼうに含まれるポリフェノールの1種であるクロロゲン酸という成分には、肉や魚の臭みを消す効果があります。肉や魚をよりおいしく食べるためにも、ごぼうを肉や魚と合わせて調理することがおすすめです。例えば、豚汁や煮魚などはごぼうを使いやすい献立でしょう。
ごぼうを手軽に摂取するなら「ごぼう茶」
前述のとおり、豊富な栄養素が含まれているごぼうは、日々の食事で意識的に摂取したい野菜の1つです。しかし、ごぼうの調理には手間がかかることや、調理のレパートリーがそう多くないことから、積極的に食卓に取り入れたいと思わない方もいるかもしれません。
ごぼうの調理が負担に感じる方は、ごぼう茶でごぼうの栄養を摂取するのもおすすめです。ごぼう茶なら、手軽にごぼうを摂取できるうえ、食物繊維などの栄養を効率よく摂取することができます。
まとめ
ごぼうには、食物繊維をはじめとした体に嬉しい栄養素が豊富に含まれています。他の食べ物と同様に食べ過ぎはよくないものの、毎日の食卓に取り入れて健康の維持につなげましょう。
あじかんでは長年ごぼうに関する研究を続けています。このサイトでは、「あじかん ごぼうプロジェクト」の研究結果をみなさまに情報提供しています。詳しい情報はこちらをご覧ください。