ごぼうの基礎知識
ごぼうがどのような食材なのか、改めて調べてみる機会は少ないでしょう。ここでは、ごぼうの基礎知識を解説します。
ごぼうってどんな食材?
ごぼうは、キク科ゴボウ属に分類される野菜です。根が細長いものと、太短いものとがあり、スーパーで頻繁に目にするのは、根が細長い「滝野川ごぼう」です。
ごぼうの主な産地は北海道や青森県、千葉県、茨城県などです。収穫の時期は春と秋ですが、貯蔵できるため1年中手に入ります。ごぼうのカロリーは100g当たり58kcalとされています。大根は12kcal、にんじんは32kcalであるため、根菜類のなかではカロリー高めな野菜といえます。ただし、さつまいもは127kcalなので、それよりは低いとされています。
ごぼうの品種は8つ
ごぼうの品種は以下のように、複数あります。
- 滝野川ごぼう
- 渡辺早生
- 中の宮
- 砂川
- 大浦
- 萩
- 越前白茎
- オロシャ
大浦ごぼうは、直径10cm以上にもなる太さのごぼうです。
ごぼうの選び方
お店でごぼうを購入するときは、泥付きを選ぶとよいでしょう。皮のすぐ下の部分に、旨みと香りが存在するためです。泥付きは鮮度も保ちやすいとされています。同じ泥付きのごぼうならば、表面にひびやしわ、ひげ根が少なく、太さが均一なものを選ぶとよいでしょう。
ごぼうの保存方法
ごぼうは乾燥すると身が硬くなり、風味が損なわれます。泥付きの状態で保存するならば、新聞紙に包んだうえで冷暗所に保存してください。
表面に傷がないものなら、この状態で1ヵ月ほど保存できます。泥付きでないものや、新ごぼうではあればラップに包んで、冷蔵庫で保存することがおすすめです。その場合でも、1週間程度で使い切るのがよいでしょう。
「鉄分」ってどんな栄養素?
ごぼうに含まれている栄養素の1つが「鉄分」です。では、鉄分とはどのような働きのある栄養素なのでしょう。ここで解説します。
鉄分の働きは?
そもそも鉄分は、ミネラル成分の1つです。鉄分には、2つの働きがあるとされています。1つは「機能鉄」であり、赤血球におけるヘモグロビンの材料となります。酸素を運ぶ役割がある成分です。もう1つは「貯蔵鉄」です。通常は、肝臓や骨髄、筋肉に蓄えられています。1つ目の機能鉄が不足すると、貯蔵鉄が体内に放出されます。
1日の摂取量の目安
鉄分の1日の摂取目安量(推奨量)は、性別や年齢などによっても異なります。月経のある15〜49歳の女性の場合は10.5mg、50〜64歳だと11.0mgです。男性の場合、15〜17歳は10.0mg、18〜74歳は7.5mg、75歳以上は7.0mgが目安です。
鉄分には2種類がある
鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があります。それぞれの役割について、ここで解説します。
「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の違い
鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。非ヘム鉄は、鉄分子がタンパク質に覆われているため吸収されにくい傾向にあるとされています。しかし、鉄の吸収率は栄養状態によって大きく変動し、鉄の栄養状態が低い場合はヘム鉄よりも非ヘム鉄の吸収率が高まることもあると考えられています。
ヘム鉄・非ヘム鉄の多い食材
ヘム鉄は肉類や魚介類に多く含まれる鉄分です。反対に非ヘム鉄は、小松菜やほうれん草などの野菜に多く含まれます。
ごぼうの鉄分含有量は?
ごぼうには、どのくらいの鉄分が含まれているのでしょう。ここではごぼうに含まれる鉄分量や、鉄分が豊富な食材を解説します。
ごぼうの鉄分含有量はそこまで多くない
ごぼうは野菜のなかで、特別鉄分が豊富な食材ではありません。100gあたりの鉄分含有量は0.7mgです。鉄分は含まれているものの、豊富とまではいえません。そのため、鉄分をごぼうだけで補うのは難しいでしょう。サプリメントやほかの食品での補助が必要です。
ごぼうを茹でた場合の鉄分含有量
ごぼうは茹でても含有量が変わりません。茹でた後も変わらず、100gあたり0.7mgの鉄分が含まれています。調理法によって含有量が変わらないのは、嬉しいポイントです。
鉄分が豊富な食材は?
鉄分だけにフォーカスするならば、ごぼうの他に鉄分豊富な食材があります。野菜以外ならば、鉄分を多く含んだ食材があります。たとえば豚レバーには100gあたり13mg、しじみには8.3mgの鉄分が含まれています。
ごぼうに豊富に含まれる栄養素9つ
ごぼうに豊富に含まれている栄養素は、全部で9種類あります。各栄養素の概要や働きを解説します。
1. 食物繊維
ごぼうに多く含まれている栄養素として、食物繊維が挙げられます。食物繊維には、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」があります。不溶性食物繊維は、水分を吸収すると膨らむ栄養素です。腸が刺激されて、ぜん動運動が盛んになります。
2. マグネシウム
マグネシウムは、カルシウムの量を調整する働きをもちます。筋肉の収縮を促す働きもある(丈夫な骨や歯を作るとされています。マグネシウムが不足すると、骨に蓄えられていたマグネシウムが血中に溶け出します。マグネシウムは補充されるものの、このときカルシウムも一緒に放出されてしまい、骨の強度が下がってしまうでしょう。
3. リン
リンにはさまざまな働きがあります。摂取したリンのうち、約80%はカルシウムと結合し、歯や骨を構成します。残りは、体内でビタミンB1やB2と結合し、補酵素となって、糖質の代謝を促進する働きを担います。
リンはエネルギー代謝にも関わっています。エネルギーを発生されるだけでなく、貯蓄にも関与する栄養素です。筋肉や神経機能を正常に保つ効果もあるため、人には欠かせない栄養素だとわかります。
4. カリウム
カリウムはミネラル成分の1つです。ナトリウムとともに、細胞の浸透圧を維持する働きをもちます。体内に十分なカリウムがあると、余分なナトリウムを排出し、血圧が正常に保たれます。反対に、カリウムが不足していたり塩分を過剰に摂取していたりすると、むくみの原因になります。
5. カルシウム
カルシウムは多くの人がご存じなように、骨の健康を担う栄養素です。体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料になります。残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに用いられ、体内で情報伝達の役割を担います。精神を安定させるためにも、カルシウムは不可欠です。
6. ビタミンB6
ビタミンB6は「代謝」の「補酵素」として働きます。ほかにも神経伝達物質の生成などに関わっています。ここでいう代謝とは、タンパク質、脂質、炭水化物を合成・分解する過程のことです。ビタミンB6の不足は皮膚炎を引き起こします。
7. 葉酸
葉酸は細胞増殖に必要なDNAの合成に関わる栄養素です。葉酸が不足すると、貧血を引き起こします。動悸や息切れ、疲労感といった症状が起こる可能性があります。なお、ごぼう100g当たりに含まれる葉酸は68mgです。
8. 銅
ごぼう100g当たりに含まれる銅は0.21mgです。銅は、鉄の代謝や酵素の活性化、神経伝達物質の生成、活性酸素の除去に関わる栄養素です。銅は通常の食生活で不足することはないとされています。逆に、過剰摂取による悪影響の報告もないため、安心して摂取できる栄養素です。
9. 亜鉛
亜鉛は、ごぼう100g当たり、0.8mgほど含まれています。酵素を構成するだけでなく、ホルモンの分泌や合成、タンパク質やDNAの合成に関わっています。
亜鉛が不足すると、味覚障害や皮膚炎、食欲不振に陥る可能性があります。亜鉛は毒性が低いため、過剰摂取による悪影響は少ないと考えてよいでしょう。不足することはあるので、できる限り多く摂取しておきたいところです。
そのほかに含まれている栄養素
ここまで解説した栄養素の他にも、ごぼうにはさまざまな栄養素が含まれています。含有量が多いとまではいえないものの、バランスよく栄養素が含まれた食材といえます。
1. ビタミンB1
ごぼう100g当たり、ビタミンB1は0.05mg含まれています。炭水化物からエネルギーを生み出すために欠かせない栄養素です。ほかにも、皮膚・粘膜の健康を維持する働きがあります。糖質の摂取量が多い食生活や、アルコールの大量摂取によって不足しがちな栄養素であるため、積極的に採り入れましょう。
2. ビタミンB2
ビタミンB2はエネルギー代謝に関わる栄養素です。ほかにも、成長の促進や皮膚・粘膜の保護の役割も担っています。ビタミンB2が不足すると成長障害や皮膚炎、口内炎などに陥る可能性があります。
3. ポリフェノール
ポリフェノールは、ごぼうに含まれる栄養素のなかでも特徴的なものです。ポリフェノールは、抗酸化作用をもつ栄養素とされており、動脈硬化をはじめとした生活習慣病を予防します。
4. パントテン酸
あまり馴染みのない栄養素であるパントテン酸は、糖と脂肪酸の代謝に関わっている栄養素です。実はさまざまな食品に含まれる栄養素であり、通常の食事で不足することは、ほぼありません。過剰摂取による悪影響もほとんどないため、気にせず摂取できます。
5. ナイアシン
ナイアシンは、皮膚・粘膜の健康維持を補助する栄養素です。脂肪酸やステロイドホルモンを作る働きをもちます。ナイアシンが不足すると、皮膚炎や下痢が生じます。場合によっては、ペラグラという病気にかかる可能性もあるが、日本での発症例は稀です。
ごぼうを美味しく食べるコツ
ごぼうの栄養素や風味を損なわないコツは、皮の剥き方にあります。ごぼうは、皮のすぐ下に旨みがつまっている食材です。ピーラーなどで厚く皮を剥くのは、勿体ないでしょう。包丁の背でこそぎ落とすのが、ごぼうを美味しく食べるポイントです。
ごぼうは下ごしらえとして、水にさらしてアク抜きをしますが、浸けすぎないように注意してください。長時間水にさらしてしまうと、水溶性の栄養素が流れ出てしまうためです。

まとめ
ごぼうには、さまざまな栄養素が含まれています。しかしごぼうは、アク抜きや皮剥きの手間もあり、毎日食卓で使われる食材とはいえません。手間なくごぼうの栄養素を摂取したい人におすすめなのが、ごぼう茶です。
あじかんのごぼう茶は、ごぼう茶の発売以来、10年で69億円の市場を形成しています。健康茶全体(市販用)の市場規模ではハト麦茶、杜仲茶を超えて1位を誇り、ごぼう茶の市場では首位を維持しています。さらにごぼう茶の健康効能について、一般普及へも貢献しているため、ぜひ一度お試しください。