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ごぼうとはどのような野菜?
ごぼうはキク科に属する植物の1種で、長く伸びた根を食べる根菜類です。
日本では古くから食されてきた野菜ですが、世界を見渡してみると、ごぼうを食べる国は日本以外にほとんどありません。
ごぼうの基本情報
ごぼうの基本情報は、以下の通りです。
学名 | Arctium lappa L. |
和名・別名 | ・岐多岐須(キタキス) ・馬蕗または首蕗(ウマフブキ) |
原産地・生産地 | ユーラシア大陸北部 |
分類 | キク科ゴボウ属 |
ごぼうの発芽適温と生育適温
発芽適温と生育適温は、植物を育てるうえで大切な要素です。ごぼうの発芽適温と生育適温は、以下の通りです。
- 発芽適温:20〜25℃
- 生育適温:20〜30℃
ごぼうの栽培手順1:畑の準備
ここからは、ごぼうの栽培におけるポイントを手順ごとに解説します。まずは、畑を準備するところからです。
畑を選ぶ
ごぼうを育てる畑には、耕土が深く、肥沃な土地が適しています。また、水はけがよいことも大切な条件の1つです。
2週間以上前~1週間前の準備
ごぼうの種まきをする2週間以上前に、畑に苦土石灰をまき、深く耕しておきましょう。
1週間前になったら完熟堆肥と化学肥料をまき、よく耕します。未熟堆肥は「また根」の原因になるので、完熟堆肥を使うよう注意しましょう。
畝を作る
次に、幅50~60cm、高さ10~30cmの畝を作ります。
耕土が浅い場合は、高くするようにしましょう。
ごぼうの栽培手順2:種まき~発芽
畑の状態が整ったら、ごぼうの種まきをしていきます。
種まき
ごぼうは春まきと秋まきができますが、基本作型は春まきです。種はあらかじめ一晩吸水させてからまきます。
直径5cm、深さ1cmのまき穴を作り、1穴につき4~5粒の種をまきましょう。種をまいたら、その上から薄く土を被せます。
株間は長根種や太短根種なら10〜15cm、短根種なら3〜8cmが目安です。種が発芽するまで、水を切らさないよう注意しましょう。
発芽後
種が発芽したら、畝面を浅く耕して株元に土を寄せます。
生育初期に雑草に覆われると健やかに育たなくなるので、発芽後はこまめに雑草を取り除くようにしましょう。
ごぼうの栽培手順3:間引き~収穫
次に、葉の間引きや収穫作業のポイントを解説します。
葉の間引き
本葉(発芽後、子葉の次に出てくる葉)が1枚のときは2本立ち、本葉が3〜4枚のときは1本立ちとして間引きましょう。そして、追肥をし、再び畝面を浅く耕して株元に土を寄せます。
草丈が30cmになるまで、これを1〜2回繰り返しましょう。収穫までは、肥料不足にならないよう注意が必要です。
収穫作業
長根種は春まきでは150日前後、短根種は種まき後約75日が収穫時期の目安です。
収穫の際は、まず葉を刈り取り、穴を掘り下げてから根を両手で持って引き抜きましょう。このとき、ごぼうにスコップの剣先が当たらないよう注意が必要です。
長期間収穫しないと「す」が入るので、適切なタイミングで収穫することが大切です。収穫したごぼうは、土をかぶせて保存しましょう。
収穫に適したごぼうの大きさ
収穫に適したごぼうの大きさは、次の通りです。
ごぼうの種類 | 長さ | 太さ |
長根種 | 80~100cm | 直径2cm |
太短根種 | 35~45cm | 直径2cm |
短根種 | 30~40cm | 直径1.5~1.7cm |
また、根が1cm程度にまで育ったら、若ごぼうとして利用することも可能です。
ごぼうは袋栽培も可能
袋栽培とは、その名の通り袋に土や肥料を詰めて野菜を育てる方法です。
ごぼうは根を長く伸ばす植物なので、栽培に適したプランターはなかなか見つかりません。袋栽培なら、麻袋や土のう袋などを用いて、家庭でも気軽にごぼう栽培を楽しめます。畑を掘り起こす必要がないので、収穫作業の負担も少なく、はじめてごぼうを育てる人にも適しています。
袋栽培の方法
ごぼうを袋栽培する場合は、まず次のアイテムを用意しましょう。
- 袋(麻袋、土のう袋、ポリエチレン製の袋など)
- 培養土
- 肥料
- ごぼうの苗
- 道具(ジョウロ、支柱など)
袋栽培の場合は、種ではなく苗からごぼうを育てます。
やり方は簡単で、袋に排水用の穴を開けて培養土を入れ、ごぼうの苗を植えるだけです。肥料や水を適宜あげながら手入れをして、根が育ったら収穫しましょう。
ごぼうの栽培で気を付けたい病害虫
ごぼうを栽培する際は、黒斑細菌病やネコブセンチュウなどに注意が必要です。
黒斑細菌病
黒斑細菌病とは、「シュードモナス シリンゲ pv. マクリコラ」という細菌による病気です。
作物がこの病気にかかると、その名の通り、周囲が明瞭な黒褐色で画された灰色ないし褐色の斑点が表れます。
主にごぼうの葉や根頭部に表れることが多く、進行すると根の肥大が悪くなります。
ネコブセンチュウ
ネコブセンチュウは、線虫の1種です。
ごぼうだけでなく多くの植物に寄生し、根っこに無数のこぶができるという被害をもたらします。
連作障害には注意が必要
ごぼうを育てる際に注意したいのが、連作障害というものです。
連作障害とは
連作障害とは、同じ科の野菜を同じ畑で繰り返し作り続けたことで、生育不良となってしまう現象のことです。
土壌の成分バランスが崩れるのと、畑にその作物を好む菌や病害虫が増えることが原因と考えられています。
ごぼうは連作障害が起こりやすい
ごぼうは、野菜のなかでも連作障害が起こりやすい部類に入ります。そのため、同じ場所でごぼうを育てる場合は、少なくとも4〜5年は間隔をあけるよう注意が必要です。
ごぼうを毎年収穫したい場合は、畑を区分けし、異なる作物を順番に作っていくことをおすすめします。これを「輪作」といい、連作障害が起こるリスクを下げることが可能です。また、土壌の成分バランスが崩れないよう、コンパニオンプランツを活用したり、雑草や緑肥によって生態系のバランスを整えたりすることもおすすめです。
ごぼうの栽培に関するよくある質問
ここからは、ごぼうの栽培に関するよくある質問について回答します。
表面に斑点があるごぼうは病気?
ごぼうの表面の斑点は「やけ症」と呼ばれるもので、連作障害の1つです。
完全な防除は困難で、間隔をあけて育てることが重要となります。
ごぼうの中に空洞ができるのは何故?
ごぼうの中に空洞ができるのは、収穫が遅れたことにより成長が進み、老化することが原因です。
ごぼうの成長が進みすぎないように、収穫のタイミングを逃さないことが大切です。また、肥料を与える量が不足していると、空洞ができやすくなるとされています。
ごぼうの根が分かれる原因は?
ごぼうの根が分かれるのは、土の中にある石や固い土塊が原因と考えられます。
対策としては、畑作りの際にそれらをしっかりと取り除いておくことが大切です。また、生育初期の過湿による根傷みやネコブセンチュウ、連作障害が原因になることもあります。
まとめ
ごぼうの栽培手順やそれぞれの重要ポイントを紹介しました。栽培の難易度が高そうなイメージのあるごぼうですが、畑の準備や種まき、間引きなどの工程を1つずつていねいに行っていけば、美味しいごぼうに育てることができます。また、袋栽培なら比較的手軽に育てることができ、収穫作業の手間もそれほどかかりません。
ごぼうは連作障害が起こりやすいので、同じ畑で連続して栽培しないよう注意する必要があります。ぜひ今回紹介したポイントを参考に、ごぼうの栽培にチャレンジしてみてください。
ごぼうは食物繊維をはじめとした豊富な栄養素を含み、ごぼうを使った「ごぼう茶」にも注目が集まっています。ごぼう茶は健康茶(市販)市場においてハトムギ茶や杜仲茶を抑えダントツの規模を誇り、10年間で69億円もの市場を形成しています。ごぼう茶が気になる人は、ごぼう茶市場首位の実績を持つ「あじかん」のホームページをぜひご覧ください。