目次
緑に変色したごぼうは食べられる?
結論からいうと、ごぼうは緑に変色しても食べられます。ごぼうが調理の途中で緑に変色するケースは決して珍しくありません。調理中に変色する要因は、ごぼうの成分にあります。ごぼうの状態が悪くて変色しているわけではないため、食べても害はありません。
ごぼうが緑に変色する詳しい理由を知れば、安心して食べられるでしょう。詳細は以下で解説します。
ごぼうが緑に変色する理由
ごぼうは、なぜ緑に変色するのでしょうか。その理由について解説します。
化学反応
ごぼうが緑に変色する理由は、ごぼうに含まれる成分が化学反応を起こすためです。ごぼうの変色について言及している論文も多数存在します。
例えば、和洋女子大学の間野義克氏らの「午蒡の緑変反応」の論文では、ごぼうを天ぷらにする際、衣の卵白により緑に変色するという記述がみられます。
また、同志社女子大学の中谷千絵氏らの「クロロゲン酸の緑変で生じる色素の分離」の論文では、ごぼうに含まれるクロロゲン酸が、pH9付近のアルカリ性水溶液中で黄色を呈しアミノ基をもつアラニンなどと反応して緑に変色すると示されました。
さらに、聖徳栄養短期大学の渡辺悟氏らの「pHの変化によるクロロゲン酸の異性体の生成について」の論文においては、クロロゲン酸とアミノ酸の共存下でアルカリ性にすると、緑に変色するとされています。
加えて、茨城県工業技術センターの田所洋弌氏らの「切りゴボウの変色防止」の論文では、クロロゲン酸、ロイシン、フェニールアラニンなどの反応により、青緑色に変化すると記載されています。
※出典:和洋女子大学「午蒡の緑変反応
※出典:同志社女子大学「クロロゲン酸の緑変で生じる色素の分離」
※出典:聖徳栄養短期大学「pHの変化によるクロロゲン酸の異性体の生成について」
※出典:茨城県工業技術センター「切りゴボウの変色防止」
ごぼうに緑の品種はある?
ごぼうにはさまざまな品種があります。ただし、もともと色が緑の品種はありません。ごぼうが緑になった場合、化学反応により変色していると判断できます。
ごぼうの変色を防止する方法
ごぼうが変色しないようにするには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、ごぼうの変色を防ぐ方法を解説します。
アルカリ性の食品と調理しない
すでに触れたとおり、ごぼうが緑に変色する理由は他の食品との化学反応です。ごぼうの変色を防ぐには、アルカリ性の食品と一緒に調理しないようにしましょう。
水・酢水に浸ける
ごぼうの変色を防ぐには、ごぼうを切ったらすぐに水や酢水に浸けましょう。特に、ごぼうを白く仕上げたい場合や赤く変色しないようにしたい場合は、酢水につけると効果的です。
変色防止の注意点
水や酢水に浸けると変色を防止でき、ごぼうの見た目を損なわずに済みます。ただし、ごぼうを水や酢水に漬けることで水溶性の栄養素が流れ出てしまうため、注意も必要です。ごぼうが変色する理由は栄養素にあり、変色の防止を優先すれば、どうしても栄養の面でデメリットが生じます。見た目を気にしないなら、ごぼうを水や酢水に浸けずに調理しても問題ありません。
腐ったごぼうの見分け方
ごぼうが緑に変色し、腐敗しているのではないかと心配になる人もいるかもしれません。ここでは、腐ったごぼうを見分けるためのポイントを解説します。
腐ったごぼうの見た目
ごぼうが曲がっていたり、乾燥してシワシワになっていたりすると、腐っている可能性が高いです。本来ごぼうは固いものの、腐ると柔らかくなります。ごぼうの表面をよく確認し、カビが生えていないかチェックしましょう。
腐ったごぼうの臭い
ごぼうから酸っぱい臭いがするなら、腐っている可能性が高いと判断できます。新鮮なごぼうから強い臭いはしないため、何らかの異臭がする場合は傷んでいると考えられます。
腐ったごぼうの触感
ぬめりがあるごぼうも、腐っている可能性があります。新鮮なごぼうの真ん中あたりをつまむと固さがあります。そのため、張りがなく柔らかいごぼうは、傷んでいると考えられるでしょう。
ごぼうに多く含まれる栄養素
ごぼうには、ミネラルが多く含まれています。ミネラルは、生体組織の構成や生理機能の維持・調整に必要な栄養素です。栄養素として欠かせない必須ミネラル16種類のうち、1日の摂取量が概ね100㎎以上のものは主要ミネラルと呼ばれています。以下では、各ミネラルの基本的な特徴について解説します。
カリウム
カリウムは主要ミネラルの1種です。カリウムには、体内の余分な塩分を排出する働きがあるといわれています。カリウムが不足すればむくみの原因になる場合もあるため、毎日の食事で適量を摂取することが大切です。また、カリウムは、腎臓の老廃物の排出や筋肉の収縮などにも関与していると考えられています。
リン
リンも主要ミネラルの1種であり、カルシウムとともに骨格を構成する成分です。リンは、カルシウムとバランスが特に重要です。リンにはエネルギー代謝や脂質代謝を促進する働きもあるとされています。また、筋肉や神経の機能を適切に保つ役割も果たしている栄養素です。
カルシウム
カルシウムも主要ミネラルの1種で、ミネラルのなかで最も多く体内に含まれています。骨や歯の材料となる重要な栄養素です。骨の代謝に関わっており、カルシウムが不足すると骨がもろくなります。また、カルシウムは血液、筋肉、細胞内にも存在しており、筋肉の動きや精神の安定などにも関わっています。
マグネシウム
マグネシウムも主要ミネラルの1種です。カルシウムを摂り過ぎた場合、血中量を調整する働きをします。また、マグネシウムには、動脈硬化を予防する働きも期待できるといわれています。マグネシウムが体内で不足すれば体内の骨から補充されます。その際にカルシウムも放出され、骨がもろくなるため要注意です。
食物繊維
ごぼうに含まれる食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類です。水溶性食物繊維の「イヌリン」は、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあると考えられています。また、不溶性食物繊維の「リグニン」には、排便をスムーズにする働きを期待できます。
ごぼうの保存方法
ごぼうは、どのように保存すればよいのでしょうか。さまざまな保存方法があるため、以下で詳しく解説します。
常温での保存
ごぼうは乾燥に弱いため、保存する際は乾燥しないように気を付けましょう。ただし、湿気が多い場所で保管すればカビが生えやすくなることにも注意が必要です。
ごぼうは土付きのまま保管すると長持ちします。土付きのまま湿らせた新聞紙にくるんで風の当たらない場所に置くと、約2週間持ちます。使う分だけを洗うのが長持ちのポイントです。
冷蔵での保存
洗ったごぼうは、冷蔵庫に入れて1週間程度で使い切りましょう。新聞紙にくるんでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保管します。
また、北海道農業試験場の「生育及び貯蔵中におけるごぼうの糖質含量の変化」の論文によると、ポリエチレンの袋に熟したリンゴと一緒にごぼうを入れ、1~3度の温度帯で保管すると長持ちするとされています。ポリエチレンの袋を密閉せず折り込みにすれば、124日も保管できるという記述があります。
さらに、新潟県食品研究所の「野菜の鮮度保持と出荷調整に関する研究」の論文においては、フィルム(LDPE30)で密閉した0度の環境で保管すれば、ごぼうは10か月の保存が可能と示されました。
ただし、ごぼうを食べられる期間は、購入時の状態や保存状況などによって変化します。上記はあくまで目安と考え、購入からの期間だけでなく、ごぼうの状態をよく確認して判断することが大切です。
※出典:北海道農業試験場の「生育及び貯蔵中におけるごぼうの糖質含量の変化」
※出典:新潟県食品研究所「野菜の鮮度保持と出荷調整に関する研究」
冷凍での保存
洗ったごぼうは冷凍保存も可能です。カットし、冷凍用の保存袋に入れて冷凍庫で保管しましょう。小さめにカットすると、冷凍も解凍もスピーディになります。どのような料理に使用するかも考慮し、適切なサイズにカットしてください。
ごぼうを手軽に摂取するなら「ごぼう茶」
今回解説したとおり、ごぼうにはミネラルをはじめとする豊富な栄養素が含まれています。ごぼうの栄養素を手軽に摂取するには、ごぼう茶がおすすめです。日々の生活にごぼう茶を取り入れると、腸内環境の調整や便秘の解消などの効果も期待できます。ごぼうの調理にはひと手間かかる傾向がありますが、ごぼう茶なら調理しなくても栄養素を手軽に摂取可能です。
まとめ
ごぼうが緑になる理由は、ごぼうに含まれる成分が調理の過程で化学反応を起こすためです。変色しても食べられるため、心配する必要はありません。ごぼうの変色を防ぎたい場合は、アルカリ性の食品と一緒に調理しないようにしたり、水や酢水で浸けたりしましょう。
あじかんは、ごぼう茶の市場で首位を獲得しています。ごぼう茶の健康効能の普及にも力を入れており、多くの人にごぼう茶の魅力を伝えてきました。ごぼう茶はおいしいうえに、ごぼうの栄養素を簡単に摂取できます。手間なくごぼうの栄養素を体内に取れるために、ぜひ活用してください。